「アクティングコーチって、いわゆる演技講師とどう違うんですか?」
よく聞かれる質問です。例えとして、スポーツ選手のコーチを想像してもらえるとわかりやすいかなと思っています。
オリンピックに出るような選手には、コーチがいますよね。それは走り方や跳び方を一から教えるような「先生」ではなくて、そんなものは勿論知っている才能ある選手を、ある時期ある大会に合わせて最高のパフォーマンスが出せるよう手助けする、チームの一員。
その選手はもちろん、才能も実力もあり、おそらく日本では一番速かったり、上手かったりします。でもその選手でさえ一人では、オリンピック当日に最高のパフォーマンスを合わせてくることは非常に難しいのです。
練習あるのみと言っても、プッシュプッシュの方向で、昨日と同じ努力を続けることだけが、正解ではありません。そしてその微調整や、新しいアプローチ方法は、本人の視点だけではなかなか発見できないものです。
側で見て、やり方を上から教えるのではなく、選手と同じ目線で並走・伴走する人、そんな人が演技にもいれば、心強いと思いませんか。
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エンターテイメントの世界でも、プロになってもコーチにつくことはよくあります。歌手ならばボイストレーニング、ダンサーなら信頼している先生のレッスンにたまには通って、定期的に自分をメンテナンスする方が多いでしょう。
でも、こと演技に関しては、「プロを目指す人」や「オーディション対策」を教える先生はいても、プロになったあとにメンテナンスできる処が極端にないのです。
「演出家や監督に叩いて育ててもらう」みたいな考え方もありますが、彼らは本来、舞台やスクリーンにどのように表現をのせるかを決定し、作品作りをする人。つまり彼らも「アーティスト」であり、自分の作りたい作品を作り上げることに集中したいはずで、あなたの演技を上手にしてくれる「演技指導者」ではないのです。
プロになったからこそぶつかる壁、そこを一緒に突破できるアクティングコーチでありたいと思っています。