オフブロードウェイ芝居 “Distant Observer” ってどんな話?

団 こと葉

こんにちは、団こと葉です。

今回ニューヨークにて俳優として出演するオフブロードウェイ作品 “Distant Observer” は、不条理劇と呼べると思います。

設定が唐突。脈絡がない。キャラクターが一貫していない。結末が曖昧。こういう一見嫌われそうな要素がたくさん入っています。
分かりやすく言えば、「よくわからない」。

でもこの「わけのわからなさ」の中に、非常に的を得た『人生の真理』みたいな台詞がチラチラッ、キラキラッ、と紛れているのです。時にジョークの形をとり、だから観客はきっと馬鹿らしくて笑うのだけど、実はもうそのとき貴方はこの劇の世界に捕まってしまっていて、本来なら至極まともに聞こえるはずのその台詞が、まるでジョークのように馬鹿げて聞こえるのです。

誰かが、「シェイクスピアは実は簡単だ。なぜなら起こるべきことは台本に全て書かれているからだ。一方チェーホフの中では、人々は日常会話しかしておらず、それでいて本当は全く別のことが起こっている。」と言いました。(もちろん極論ですが!)

今回の “Distant Observer” は2015年から3年かけて書かれたバリバリの新作現代劇です。
キャラクター達(名前さえないのです!)はこの「わけわからない」世界のなかを、場所を変え、時間を変え、キャラクターを変えて旅します。

私達の住む現代の世の中って、それこそ「よくわからない」ことに溢れていますよね。そして人はその中で、何かを分かろうとして、真理を見つけようとして、生きているんだと思います。
例えば、「幸せってなんだろう」とかね。

だから、何が言いたいかというと。
今回の “Distant Observer”、実は一周回って現実に近いんじゃないかと、稽古を重ねながら思い始めているのです。

そんな本作のチケットはこちらから。
時間と場所を限定された劇場という空間でしか観られない現代アートの目撃者になろう!

【Distant Observer: Tokyo/New York Correspondence】
By Takeshi Kawamura and John Jesurun
March 16, 2018 – April 1, 2018
@La MaMa Experimental Theatre Club